【3月11日 AFP】3年間内戦が続いているシリアで10日、イスラム系の反体制派に誘拐されていたギリシャ正教の修道女ら16人が、シリア政府によって収監されていた150人以上の女性と引き換えに解放された。誘拐された人と受刑者の解放を交換条件にした交渉が行われたのはまれだという。

 昨年12月3日、首都ダマスカス(Damascus)の北にあるキリスト教徒の村マアルーラ(Maalula)で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」の戦闘員らが、修道女13人と家政婦3人を誘拐して拘束していた。この村では、イエス・キリスト(Jesus Christ)が使っていたとされるアラム語の一種が現在も使われている。

 解放された修道女らは、レバノン国境に近い、政府軍が掌握しているジェイデヤブース(Jdeidet Yabus)の町に同日早く到着した。ある修道女は、解放された16人のいずれも拘束中にひどい処遇を受けたことはなく、「求めたものは全て与えられた」と語った。

 修道女の1人は、神に感謝したいと述べるとともに、交渉に当たったシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と、シリア反対政側の中心的な支持者であるカタールのタミム・ビン・ハマド・サーニ(Tamim bin Hamad al-Thani)首長、レバノンのアッバス・イブラヒム(Abbas Ibrahim)公安総局長官に謝意を表した。イブラヒム長官は、レバノンのテレビ局「ニューTV(New TV)」に対し、身代金の支払いはなく、代わりに「150人以上の女性の受刑者」が釈放されたと明かした。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、政府側の複数の施設に収監されていた計150人の女性が修道女らと引き換えに釈放され、マスナア(Masnaa)国境検問所で解放されたという。

 シリア内戦のあらゆる陣営が収監施設を設けており、そこには子ども数百人を含む数万人が収監されているとされる。人権団体によると、そういった施設では拷問や虐待が組織的に行われているという。(c)AFP