【3月10日 AFP】改革を実施し損ねたロシア経済は低成長が長期化し、資本逃避に苦しみ、通貨ルーブルには持続的な市場圧力がかかっている。

 こうした中、ウクライナ・クリミア(Crimea)自治共和国を数週間のうちにロシアへ編入しようという大胆な賭けに出たのは、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領にとって本当に最適なタイミングだったといえるのだろうか。

 クリミアへの急襲は、プーチン大統領にとって大きな経済的リスクを伴うと、経済専門家らは指摘する。ロシアはすでに欧米による報復、元から苦闘しているルーブルへの圧力の高まり、不安を募らせる投資家たちによる外国資本のさらなる流出に直面している。

 2018年の露大統領選に再び出馬する可能性を排除していないプーチン大統領は、ロシア経済の短期的な健全性よりも、クリミア半島を掌握する政治的利益を明らかに優先した。経済への打撃が長引かないことを期待しているのだろうが、専門家らは、そのようなロジックには欠陥があり、ロシアの経済実績はいずれ新興5か国「BRICs」の一角というステータスを台無しにしてしまうだろうという。

 格付け大手フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)のアナリストらは「通貨の下落と資本逃避に示されているように、すでに弱体化しているロシア経済にとって、ウクライナ危機はさらにリスクを高める。特に経済・金融制裁の脅威が高まれば、資本逃避は加速される可能性がある」と指摘している。