【3月10日 AFP】6500万年前に地球に衝突し、恐竜を絶滅させたことが知られている隕石(いんせき)は、酸性雨を引き起こし、海面を「致命的な状態」に変えていたとする研究論文が9日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

 千葉にある惑星探査研究センター(Planetary Exploration Research CentrePERC)の大野宗祐(Sohsuke Ohno)氏率いる研究チームによると、この衝突で硫黄を多く含む隕石が一瞬にして蒸発し、三酸化硫黄(SO3)ガスの巨大な雲が発生したという。同研究チームは、地球で最後に発生した大量絶滅の謎について調べている。

 研究チームによると、三酸化硫黄が水蒸気と混ざり合ってできた「硫酸酸性雨」が数日内に地表に降り注いで海洋の表層部を酸性化し、そこに生息していた生物を殺したと考えられるという。

 論文では、このように生物にとって致命的な状態になった表層の下部で生き延びることができた生物種が、最終的に海を受け継ぐことになったとしている。ただ、陸生動物に対する影響については、今回の研究の対象外だ。

 この巨大隕石の衝突は「白亜紀第3紀間絶滅(KT絶滅)」として知られている。KT絶滅では、直径約10キロの小惑星とみられる物体が現在のメキシコ・ユカタン半島に周辺に衝突し、地球上の生物6割~8割が死滅したとされている。