独大統領、ギリシャ国内のナチス虐殺現場を訪問 新たな賠償は否定
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【3月8日 AFP】6日から2日間の日程でギリシャを訪問したドイツのヨアヒム・ガウク(Joachim Gauck)大統領は7日、第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)の部隊が住民を虐殺したギリシャ北部のリギアデス(Ligiades)村を訪れた。
1943年10月、アルバニア国境に近い丘陵地帯にあるリギアデス村で、ドイツを標的にしたレジスタンスの攻撃に対する報復としてナチス・ドイツの部隊が数十人の子供を含む80人の村民を機関銃で殺害した。現場には出来事を後世に伝える記念碑がある。
同地出身でかつてギリシャ・レジスタンスに参加していたカロロス・パプリアス(Karolos Papoulias)ギリシャ大統領(84)と共に同地を訪れたガウク大統領は、「私はドイツを代表し、不名誉の念と苦悩を込めて、犠牲者のご家族の方々に許しを請います」と述べた。
ガウク大統領はまた、「私は、犯罪の張本人たち、そして戦後の多くの指導者たちが語ろうとしなかったこと、ここで行われたのは残虐な不正義だったのだということを表明し続けると誓い、この非道な犯罪の犠牲者の前にこうべをたれます」と述べた。
債務危機に見舞われているギリシャでは、ドイツが支援と引き換えに厳しい緊縮財政を押し付けていると反発する意識が強い。ギリシャの幅広い政治勢力の指導者たちは、ドイツはギリシャに対して戦争中の暴力と損害について巨額の賠償義務があると公言している。ドイツはギリシャに対して1620億ユーロ(約23兆2000億円)の賠償義務があるとした公式報告もある。
しかし、ガウク大統領は6日のギリシャの閣僚との会談で、債務危機とその後の緊縮措置の波に見舞われたギリシャの背負う「重荷」に「深く注意を払っている」が、賠償は戦争直後に済んでおり、ギリシャがさらなる支払いを求める法的な道は閉ざされている、という従来のドイツの立場を改めて表明した。(c)AFP