【3月6日 AFP】中国雲南(Yunnan)省昆明(Kunming)市の昆明駅で起きた無差別殺傷事件について、中国メディアは5日、政府当局者の話として、容疑者8人は事件前、国外でイスラム聖戦士として活動するため中国を離れようとしていたが、これに失敗しその絶望感から犯行に及んだと報じた。

 中国政府、米国政府とも、29人が死亡、143人が負傷した1日夜に起きた事件をテロと断定。中国政府は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の分離独立を目指す勢力による犯行だとしている。

 中国国際放送(China Radio InternationalCRI)が報じた雲南(Yunnan)省の当局者の話によると、容疑者8人は雲南省から国外へ出ようと試みたが出国できず、香港(Hong Kong)に隣接する広東(Guangdong)省に移動。しかし同省からも出国できず雲南省に戻ったという。

 ベトナム国境に隣接する雲南省南部の紅河(Honghe)県からも出国できなかった8人は、同県の国境付近か昆明の輸送ターミナルのどちらかを狙った犯行を企てたという。これら一連の報道は既にCRIのウェブサイトから削除されている。

 米政府が出資するラジオ・フリー・アジア(Radio Free AsiaRFA)は、昆明に住むウイグル人の見解として、容疑者8人は、新疆ウイグル自治区で昨年繰り返された司法管轄外の殺害への復讐として殺傷事件を起こしたのかもしれないというコメントを紹介した。

 中国国営メディアが米同時多発テロ「中国の9・11」と呼ぶ今回の殺傷事件は中国全土を揺るがし、事件をきっかけに各地で警備が強化されている。(c)AFP