米大統領、3.9兆ドルの予算教書 中間選挙意識した内容
このニュースをシェア
【3月5日 AFP】米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は4日、米議会に2015会計年度(14年10月~15年9月)の予算教書を提出した。11月の議会の中間選挙で民主党の議席減を食い止めることを意識した内容となっている。
やや拡張的といえる3兆9000億ドル(約400兆円)の来年度予算案が、共和党が多数派を占める下院を通過する可能性はほぼない。しかし今年は11月に上院の3分の1、下院の全議席が改選される中間選挙を控えており、オバマ大統領は有権者の歓心を買いそうな大衆向けのメッセージを強調するために今回の予算教書を用いるだろう。
米議会は現在、上院と下院が「ねじれ」の状態になっているが、中間選挙でオバマ氏率いる民主党は、下院での劣勢を挽回する見込みがほとんどないばかりか、上院での優勢も失いかねない状況にある。もしもそうした事態が起これば、オバマ大統領の残り2年の任期は確実に惨めなものとなるだろう。
4日に発表された米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)と米ABCニュース(ABC News)の共同世論調査ではオバマ氏にとって厳しい結果が出ており、上院議席改選がある34州の合計で共和党支持者が50%、民主党支持者が42%だった。最近の大統領支持率は41%で、不人気の医療保険制度改革法(通称オバマケア、Obamacare)が大きな要因だとされている。
しかし、オバマ大統領は努めて前向きな姿勢を保ち、ワシントンの小学校で行った演説では12年に再選した際の自らのビジョンを繰り返し語り、支持者たちに「予算とは我々の選択や価値観を示すものだ」と訴えた。
オバマ大統領は、富裕層が恩恵を受けている税法の抜け穴をふさぎ、歳出改革を行うことでまかなうとして、560億ドル(約5兆7000億円)の特別歳出枠を提案している。
ホワイトハウスは、この予算案で勤労所得の税額控除(EITC)が拡充し、全米1350万人の労働者が減税され、さらに育児や高等教育にかかる費用にも減税が拡大するとしている。
予算教書が前提としている米経済成長率は今年が3.1%、来年が3.4%。インフレ率は抑制され、来年ようやく2%に上昇する程度と予想している。
08年のリーマン・ショック以降、急増した財政赤字は15年度、5640億ドル(約58兆円)、米国内総生産(GDP)比では3.1%、に低下し得ると予測している。(c)AFP/Stephen COLLINSON