【3月4日 AFP】約1万4000年前に描かれたとされる赤い牛の壁画で有名なスペインのアルタミラ洞窟(Altamira Cave)がこのほど、12年ぶりに公開された。ただ壁画を見学できたのは抽選で選ばれた5人だけだった。

 アルタミラ洞窟は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録されている獣や動物の頭のある人間の鮮やかな壁画で知られ、世界で最も見ごたえのある先史時代の芸術作品の一つとみなされている。しかし、見学者の息や持ち込まれる微細菌によってこの太古の絵画が損傷する恐れがあるとして、2002年以降は閉鎖されていた。

 この日、カンタブリア(Cantabria)自治州サンティリャーナデルマル(Santillana del Mar)にある、同壁画の複製を展示している博物館で抽選が行われ、選ばれた幸運な5人だけが洞窟内に案内された。

 見学者らは白いマスクとつなぎ服を着用して洞窟内に入った。見学を終えた5人は一様に感銘を受けた様子で、中には「とても感激した。鳥肌が立った」と感想を述べた女性もいた。

 この壁画見学ツアーは、研究のために12年間閉ざされた状態にあった洞窟を再び一般公開した場合、壁画にどのような影響が出るかを調査する目的で研究者らが企画した。

 同国文化省は、今後一般公開を継続しても壁画が安全かどうかを見極めるため、科学者らによる気温や周囲の岩の温度、湿度、二酸化炭素量の監視、その他汚染リスクの評価が行われると説明している。(c)AFP/Elodie CUZIN