チェコ大統領、クリミア介入で露に警告 1968年の「チェコ事件」引き合いに
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【3月3日 AFP】 チェコのミロシュ・ゼマン(Milos Zeman)大統領は1日、ロシアによるウクライナ南部クリミア(Crimea)自治共和国への軍事介入について、1968年に旧ソ連が率いたワルシャワ条約機構(Warsaw Pact)軍がチェコスロバキアに侵攻した「チェコ事件」を引き合いにして、ロシアに警告した。
「クリミア人口の大半を占めるロシア語話者の住民たちの関心はよく承知しているが、私たちは、1968年に軍事侵攻を経験している」と、AFPが入手した声明でゼマン氏は述べている。「どんな軍事介入を行っても、現世代では埋められない溝を生むだけだ」
これより先、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ウクライナへの軍事介入についての議会の承認を得ていた。一方のウクライナ政府は、ロシアが数千人規模の兵士をクリミアに派遣しているとして、露政府を非難していた。
旧ソ連、ブルガリア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランドの軍からなるワルシャワ条約機構軍は1968年8月21日、チェコスロバキアに侵攻し、同国で起きていた民主化運動を鎮圧し、100人以上が死亡し、約500人が負傷。同国には、以降20年にわたりソ連軍が駐留した。
チェコスロバキアの社会主義体制は1989年に終わり、同国はその4年後、チェコとスロバキアに分かれた。
チェコのルボミール・ザオラレク(Lubomir Zaoralek)外相もまた、今回のロシアの動きが1968年の「チェコスロバキアの主権に対する侵害」に似ていると語った。同外相は「私は断固、反対し非難する。私たちはもう欧州の紛争を武力で解決しない」と述べ、ロシアが1994年にウクライナの主権を保障すると約束したことを指摘した。「ロシアが約束を守らないのは受け入れられない」
ゼマン大統領は親ロシア派であり、欧米の多くの首脳がロシアの人権問題への懸念から欠席した先月のソチ冬季五輪開会式にも出席していた。
ゼマン氏は1968年に共産党に入党したが、その2年後、1968年の侵攻を非難したことを理由に除名された。(c)AFP