「遠洋漁業は経済的損失」、経済学者が禁止を提言
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【3月7日 AFP】遠洋漁業は経済的損失だ――米経済学者がこのほど、このような試算結果を発表した。公海の環境や資源の保護を求める声を後押しする見解だ。
米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)のマーティン・スタッチティー(Martin Stuchtey)氏によれば、政治的な主張を一切排除した方程式で計算したところ、遠洋漁業を禁止すると地球上の全人類1人当たり2ドル(約200円)のコスト負担が生じるが、同4ドル(約400円)の利益がもたらされるとの答えが導き出されたという。
「2ドルの支払いで4ドルを得る。これは今の銀行が提供するどんなサービスよりも、はるかに良い」。スタッチティー氏は先月26日、米カリフォルニア(California)州ハーフムーンベイ(Half Moon Bay)で英誌エコノミスト(Economist)が主催した「世界海洋サミット(World Ocean Summit)」のシンポジウムで講演後、AFPの取材に語った。
海洋資源が減少する中、遠洋漁業船団は魚の群れを求めてより遠くの海域まで遠征しなければならなくなっており、ごく一部の国ではこうした船団に巨額の補助金を出している。こうして漁獲された魚の大半は、先進国で消費されている。
この補助金制度を取りやめ、遠洋漁業も中止すれば、財政面で大幅な節約になるだけでなく、海洋生物の個体数回復や、国連(UN)海洋法条約で定められた排他的経済水域(EEZ)の海洋環境再生にもつながると、スタッチティー氏は主張している。