シリアのイスラム武装勢力、キリスト教徒に課税
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【2月27日 AFP】シリア北部の都市ラッカ(Raqa)を実効支配しているイスラム武装組織「イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant、ISIL)」は26日、市内に暮らすキリスト教徒に税金を課し、屋外での宗教的行為を禁止すると発表した。
ISILがイスラム過激派が集まる複数のインターネットフォーラムに投稿した声明は、市内のキリスト教徒を「保護するため」として12項目の規則を並べ、キリスト教徒側とも「合意に至った」としている。
この新規則の下では、イスラム創世期に当時の為政者が異教徒から徴収していた「ジズヤ」と呼ばれる人頭税がキリスト教徒に課され、富裕層は純金13グラム相当、中流層はその半額、貧困層は同4分の1の税金を納めなければならないとされている。
また、「路上や市場などイスラム教徒がいる場所では、十字架や聖書に記されているものを一切、人目にさらしてはならない」「祈りの声が外に聞こえないよう、拡声器を使ってはならない」「教会の外で一切の宗教的行為を執り行ってはならない」などの制限も定められている。
ISILはキリスト教徒に対し「つつましい服装をするなど、ISILが定めた規則に従う」よう要求。「ラッカと周辺地域に教会や修道院などを建設してはならない」「武器を携帯してはならない」とも規定し、違反者は「戦禍を被った人々や反逆者が直面した運命に苦しむことになるだろう」と警告している。
ラッカはかつて人口約30万人の都市だったが、キリスト教徒の占める割合はもともと少なく、1%に満たなかった。多くのキリスト教徒はISILがラッカを攻撃し教会を焼くなどしたため、既に市外へ避難している。
ISILは国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の組織で、派生元のイスラム武装勢力「イラク聖戦アルカイダ組織(イラクのアルカイダ、Al-Qaeda in Iraq)」は2003年のイラク戦争後、イラク国内でジズヤを課したことがある。(c)AFP