ウクライナ前大統領、大規模なデモ弾圧を画策か 資料見つかる
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■「波作戦」、キエフを閉鎖せよ
作戦名は「波作戦(Operation Wave)」。キエフの閉鎖を目指し、反政権派のテレビ局を封鎖し、治安要員が設置した「わな」にデモ隊を追い込んで拠点の独立広場(Independence Square)から反体制派を「一掃」する綿密な計画が立てられていた。また、治安要員数千人がデモ隊の自警団の中核をなす主要右翼グループを「無力化」する計画も含まれていた。
だが実際に起きた出来事はこうだった──2月18日、キエフの中心街で衝突が発生し、死傷者が多数出る中、治安当局は曖昧な「対テロ」作戦の開始を発表。軍は、この発表により街中での軍部隊の武装が許可されると表明した。
その夜、独立広場を囲む警官隊が拡声器で作戦の開始を宣言し、女性と子どもたちに広場から出ていくよう呼び掛けた。直後、機動隊が放水銃、催涙ガス、スタングレネード(閃光手投げ弾)でデモ隊を攻撃。広場の3分の1ほどを占拠したが、そこで急に追撃を中止した。
地下鉄は封鎖され、反政権派のテレビ局1局が放送を中止した。その後まもなくして、キエフへの道路が封鎖され、警察の狙撃班が独立広場の周辺に配置された。
約30時間のにらみ合いの後、デモ隊は20日朝、警官隊の封鎖線を襲撃。これに治安要員が狙撃ライフルと自動小銃で反撃し、多数の死者が出た。
作戦の全てが実施されなかった理由はわからないが、この流血の事態がヤヌコビッチ前大統領の追放へとつながった。