【2月27日 AFP】通勤ラッシュ時の混雑のすさまじさで知られる香港(Hong Kong)の地下鉄で、通勤客がスマートフォンを使いやすいよう、座席を一部撤去して乗客1人当たりのスペースを拡大する案を運輸当局が検討している。

 香港特別行政区政府の運輸・住宅局は25日、地下鉄事業者の香港鉄路公司(MTR Corporation)に対し、ラッシュ時の混雑率緩和策を講じるよう指示した。

 同局は香港立法会(議会)に提出した文書の中で、「地下鉄内で新聞を読んだり、タブレット型端末やスマートフォンなどのモバイル機器を使用したりする乗客が増加していることから、1人当たりの車内占有スペース拡大が必要だ」と主張。「一部の車両で部分的に座席を撤去することによって輸送能力を向上させる」案や、オフピーク通勤に奨励金を設ける案などを示した。

 2013年9月発表の政府統計によると、香港では市民の87%がスマートフォンを利用している。当局はこれまでにも「歩きスマホ」による事故・けがを防止するため、駅構内にポスターを張って利用客に注意を喚起するようMTRに指導している。

 MTRは1980~90年代に設計された車両を使用しており、1平方メートル当たりの乗車人数は最大6人が基準。当局はこの基準を4人に削減するよう指示している。全長218キロに及ぶ香港の地下鉄は、平日の平均利用者数が520万人に上る。(c)AFP