【2月26日 AFP】反政府デモが続くタイの首都バンコク(Bangkok)では26日、地方の政治拠点に移動したインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相が不在の中、抗議行動の複数の拠点付近で発砲があり緊張が走った。負傷者は出ていない。

 警察によれば、銃を持った正体不明の男数人が、高級ショッピングモールやホテルなどに沿ってデモの参加者たちが野営している市内3か所で、早朝約1時間のうちに散発的に発砲した。発砲したのが治安部隊側かデモ隊側かは不明だが、威嚇が目的と警察はみている。

 汚職や金権政治に立ち向かうために、選挙によらない「人民評議会」の設置を求めるデモ隊は、インラック首相が退陣するよう強力に圧力をかけている。一方、インラック支持派は、選挙によって選ばれた首相が、デモや軍事クーデター、裁判所などによって排除されることは容認しないと明言しており、対立の長期化が懸念されている。

 インラック首相はコメ買い取り制度をめぐる職務怠慢の容疑で、今週27日にタイの国家反汚職委員会(National Anti-Corruption CommitteeNACC)に召喚されている。有罪となれば首相を解任される上、今後5年間の政治活動が禁じられる。

 インラック首相は政府が支援するプロジェクトを視察するため26日、北部チェンライ(Chiang Rai)県に入っており、反汚職委員会による聴聞会には出席しないとみられている。

 昨年10月下旬に反政府デモが開始されて以来、700人以上が負傷している。反政府側は暴力はインラック支持派によるものだといい、政府支持派はデモ側が軍の介入を扇動しているとし、非難の応酬となっている。

 前週末にはバンコクと東部での反政府集会が、手りゅう弾や銃で襲撃され、子ども4人を含む死者が出た。これを受け26日、バンコクの警察本部前では数百人のデモ隊が集まり、子どもの殺害に対する裁きを要求した。(c)AFP/Boonradom Chitradon