メキシコ麻薬王の拘束作戦、無人機と盗聴で米国が支援
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【2月24日 AFP】13年間の逃亡の末、22日にメキシコ海兵隊に身柄を拘束されたメキシコの麻薬密売組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の最高幹部「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)容疑者(56)の拘束作戦では、米当局が無人機の投入や携帯電話の盗聴で作戦を支援していた。24日、米政府当局者が匿名でAFPに明かした。
過去7年間だけで7万7000人以上が犠牲になったメキシコの麻薬抗争がらみの事件のほとんどに関与しているとされるグスマン容疑者は、2001年にメキシコの刑務所を脱獄し、逃亡を続けていた。
AFPの取材に応じた米政府当局者によると、無人機は1月中旬~2月中旬の2週間に北西部シナロア州クリアカン(Culiacan)で実施されたメキシコと米国の合同作戦で投入された。しかし、グスマン容疑者は隠れ家から地下トンネルを使って脱出。さらに南の海辺のリゾート地マサトラン(Mazatlan)まで逃げたところで22日、コンドミニアムにいたところを海兵隊に拘束された。
マサトランでは無人機は使用せず、携帯電話の盗聴でグスマン容疑者の居所を突き止めたという。拘束当時、同容疑者の周囲にいたのは見張り番とボディーガード、元ミスコン女王の妻とみられる女性の3人だけだったという。
一方、米当局は23日、メキシコに対してグスマン容疑者の身柄引き渡しを求める意向を明らかにした。
グスマン容疑者は米国でも、シカゴ(Chicago)で市内に密輸される違法薬物の供給元として「公共の敵ナンバー1」と非難されており、ニューヨーク(New York)からカリフォルニア州のサンディエゴ(San Diego)まで米国の複数の都市で麻薬絡みで訴追されている。米当局は、同容疑者の逮捕につながる情報提供に500万ドル(約5億円)の懸賞金をかけていた。
グスマン容疑者の身柄引き渡しを求める理由について、米下院国土安全保障委員会のマイケル・マコウル(Michael McCaul)委員長は、警備が厳重で脱獄不可能な米国の刑務所に同容疑者を収監することはメキシコと米国の双方にとって有益だと説明した。(c)AFP