【2月24日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)が採択した、シリアに人道支援の受け入れを求める決議について、シリア政府は23日、「国家主権」が尊重される限り協力する用意があると発表した。

 国連安保理は22日、全当事者に対し人口集中地域の包囲の即時解除を求める対シリア人道支援決議を全会一致で採択した。

 決議に対しシリア外務省は23日、「外国からの支援を受けたテロリズム」と欧米とアラブ諸国によるバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領政権に対する制裁といった、人道危機の「根本原因」に対処しなければならないと発表した。

 外務省は国営シリア・アラブ通信(Syrian Arab News AgencySANA)を通じ発表した声明で、国連のミッションと国際人道組織との協力の用意があることを表明。決議の実施にあたっては、「国連憲章に定められた諸原則、国際法と人道的活動の基本、特に国家主権と国家の役割、さらに中立・透明・非政治的支援の原則の尊重」を伴わなければならない、と述べている。

 また決議が国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系組織のテロ攻撃を非難していることは、「過激なアルカイダ系テロリズム」がシリアに存在していることを安保理が「認めた」ことであり、「正しい方向への一歩」だと述べた。

 今回の決議は、シリア内戦が勃発して以来、昨年の化学兵器破壊決議に次ぎ2番目の決議となった。だが拘束力はなく、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)のナジム・ホウリ(Nadim Houry)中東担当副所長は「政治的な突破口となるが、言葉だけでは厳しい食糧難にあるシリア人に食べ物を与えることにはならない」と述べている。(c)AFP