急速に進む南極の氷融解、今後数百年続く恐れも 国際研究
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【2月21日 AFP】南極の氷の融解は、世界の海面上昇に対する最大の脅威の1つと考えられており、この傾向は今後数十年から数百年にわたって続く恐れがあるとの研究報告が20日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。
英国、ドイツ、米国の国際研究チームは、南極のパインアイランド氷河(Pine Island Glacier)に着目した研究を行った。パインアイランド氷河の下部を含む海洋全体の水温がますます上昇する中、同氷河の厚さの減少速度は過去約20年間にわたって増加を続けている。
研究チームは氷の後退で露出した岩石を対象として、最新の地質学的調査と高度な測定技術による年代測定を行い、その結果に基づいて、数千年前にも同様の現象が起きていたことを明らかにした。
研究チームが発表した論文によると、パインアイランド氷河の厚さは、約8000年前にも最近数十年間と同様の速度で減少したことがあるという。これは同氷河が今後、8000年前と同様の傾向をたどるかもしれないことを示唆しているという。
「このような氷の厚さの減少傾向は、数十年から数百年にわたって続いた。減少速度は年間平均100センチ以上で、現在の減少速度と同程度だ」と論文は述べている。
「パインアイランド氷河は、氷の厚さの急速な減少を過去に少なくとも1度は経験していること、さらにはこの地域の氷床の急速な変化は、ひとたび始まると何世紀にもわたって続く可能性があることが、今回の研究で判明した」
先月は、パインアイランド氷河の融解が取り返しがつかないほど進行しており、今後20年以内に海面が今より最大1センチ上昇する恐れがあるとの研究報告が英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に発表された。
ネイチャー誌の論文によると、同氷河では1992~2011年の間に年間平均200億トンの氷が消失しており、今後はこの消失量が年間1000億トン以上にまで増加する可能性も高いという。(c)AFP