【2月21日 AFP】星の爆発は、非常に厄介な現象だが、役に立つ面もある。大規模な爆風によって、カルシウム、鉄、チタンなどの重要な元素が宇宙にばらまかれるのだ。

 米航空宇宙局(NASA)の19日の発表によると、最新の高エネルギーX線望遠鏡のおかげで、天文学者らは星の爆発で起きていることの解明にかつてないほど近づいている。

 高エネルギーX線望遠鏡「NuSTARNuclear Spectroscopic Telescope Array、核分光望遠鏡アレイ)」の主任研究員で、米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)の科学者、フィオナ・ハリスン(Fiona Harrison)氏は「この望遠鏡により、恒星がどのようにして爆発するかという謎の解明が進んでいる」と話す。

 NASAのもう1つのX線観測衛星チャンドラ(Chandra X-ray Observatory)で得られた画像と組み合わせることで、NuSTARは「爆発した星の残骸に存在する放射性物質の地図を史上初めて」作製したと、ハリスン氏は記者団に語った。

 最も驚くべき発見の一つは、星は球体だが、爆風は輪状に広がるわけではなく、逆に最初からむらが大きく、ゆがんでいるように見えることだった。ハリスン氏によると、爆発する前の星の中心核は「文字通りばしゃばしゃと揺れる」のだという。

 今回の研究成果は、地球から1万1000光年の距離にある超新星残骸「カシオペア座A(Cassiopeia A)」の観測に基づいている。

 カシオペア座Aの超新星爆発は約350年前に起きた。この爆発で外層部分は強烈な熱風で吹き飛ばされ、さらに多くの元素が形成された。

 カシオペア座Aは1670年から拡大を続けており、その残骸は時速1600万キロの速度で進んでいる。爆発の内部で形成された放射性物質を科学者らが観測できるようになったのは今回が初めてだ。