「迷子」のシリア難民男児、実は報道機関の勘違い
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【2月20日 AFP】ソーシャルメディア上で話題になった、家族を捜して砂漠を1人さまようシリア難民の男児(4)の画像──しかし、この男児は実際に迷子になっていたわけではなく、家族のわずか数メートル後を1人で歩いていただけだったことが、このほど明らかになった。
複数のメディアが写真をリツイートしたことで拡散された男児の写真は、国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for Refugees、UNHCR)ヨルダン事務所代表のアンドリュー・ハーパー(Andrew Harper)氏が16日に「砂漠で出会った男児」としてツイッター(Twitter)に投稿したものだった。
同氏はその後、この子どもについて「1人で歩いていたが、すぐに家族と合流した。一時的に離れていただけだった」とツイッターで説明した。
投稿された画像には、片手にプラスチックの袋を持ったマルワン(Marwan)という名の男児と、助けようと近寄る国連(UN)職員たちが写っていた。
ハーパー氏は、「男児が1人だったとは一度も書いていない。報道機関がそう伝えただけだ」と強調し、「ヨルダンとの国境を越えてすぐに家族の元に戻った」と説明した。投稿されたそのほかの画像には、マルワン君のすぐ前を歩く家族も写っていた。
ハーパー氏はAFPの取材に対し、「マルワン君は多数の難民と一緒に国境を越えた。集団の後方にいただけで、1人になったのは数分だった」と述べ、集団で国境を越える際、車椅子の人や女性、高齢者、病気の人などが後方に集まる傾向があり、その中には小さな子どもが入ることも多いことを指摘した。
「他の子たちと多くの荷物を抱えていた母親は両手がふさがっていた。そうした理由から、子どもたち全員を近くに置いておくことは難しかったようだ」(ハーパー氏)
同氏によると、マルワン君は今後、シリアから避難した10万人以上とともにザータリ難民キャンプ(Camp Zaatari)で暮らすことになる。これまで、ヨルダンに避難したシリア人は50万人を超えている。(c)AFP