【2月19日 AFP】中国の現代美術作家、艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏(56)は18日、米国の美術館で展示されていた自身の作品を構成する100万ドル(1億円)相当の壺が来館者によって破壊されてしまったことについて、「よくあることなので気にしない」と述べた。

 破壊された壷は、米マイアミ(Miami)の美術館「ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(Pérez Art Museum Miami)」で展示されていた作品「Coloured Vases(色塗られた壺たち)」の一部を構成していたもの。中国の漢(Han)王朝時代(紀元前206年~紀元後220年)に作られたとされ、艾氏によって鮮やかな塗装が施されていた。

 壺を破壊したのはドミニカ共和国出身の美術作家、マキシモ・カミネロ(Maximo Caminero)容疑者。同容疑者は16日、同美術館を訪れた際に壷を地面に落として壊した。

 地元紙マイアミ・ニュー・タイムズ(Miami New Times)によると、同容疑者は、すぐそばにあった壺を落とし割る艾氏の写真に触発され行動を起こしたと話しているという。同美術館で外国人の作品ばかりが展示されていることに抗議する目的があったとされるが、この壺に100万ドルもの価値があるとは知らなかったという。

 だが当の艾氏はAFPに対し、壺破壊の知らせを受けた時は「さほど気にならなかった。私の作品はしばしば、展示中に破壊されたり、壊れたりするからね」とコメントした。だが芸術家が意図的に破壊したとの情報については、「彼の言い分を聞いたが、まっとうな理由には思えない」との見解を示した。

 また、同容疑者に損害賠償を請求する可能性については、「この作品は美術館に貸し出されていたもので、私が関与するところではない」とし、対応は美術館側に任せると話した。(c)AFP