【2月17日 AFP】タイの反政府デモが占拠している首都バンコク(Bangkok)の中央省庁街を、週内に奪還すると宣言した当局に反発したデモ隊は17日、首相官邸を包囲した。

 インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)政権の打倒と首相一族による政治支配の阻止を掲げている反政府デモは、3か月以上に及んで主要省庁街を占拠しており、政府はその奪還を試みている。インラック首相は約2か月にわたって首相官邸を使用できない状態で、閣議は首都の各地で行っている。デモ隊は首相が率いているのは「移動政府」だとなじり、街頭行動と介入主義で名高いタイの裁判所を通じた圧力を合わせることで、インラック政権を転覆できると期待している。

 前週14日、機動隊は首相官邸周辺にデモ隊が築いたバリケードやテント、土のうなどを、デモ隊とほとんど衝突することなく撤去した。

 抗議行動を排除するにあたり当局は、デモ隊との衝突を避ける方針に転換した。約1万か所の投票所をデモ隊が妨害した2日の総選挙以降、一時は数万人が参加していた街頭デモは縮小している。首都の非常事態管理を担当するチャルーム・ユーバムルン(Chalerm Yubamrung)労働相は、警官隊が今週、首相官邸を含む5か所の公共施設奪還のために「穏便な措置」を取ると発表し、デモ隊を「取り締まる」のではなく交渉すると宣伝していた。

 しかし14日の撤去から数時間後には、デモ隊は元に戻り、バリケードをやすやすと築き直した。

 17日、首相官邸近くで行われた反政府デモの集会には、タイ改革国民学生同盟(Student and People Network to Reform Thailand)として知られる強硬派の姿もみられた。AFP特派員によると同日、デモ隊は官邸の門の前に積み上げた土のうにバケツでセメントをかけて固め、またその近くにはタイヤでバリケードを築いた。

 デモを扇動する指導者、ステープ・トゥアックス(Suthep Thaugsuban)前副首相は舞台に立ち「彼ら(政府)が仕事に戻ることは許さない。何故ならば、われわれは彼らを求めていないからだ。インラック氏は二度と首相官邸で執務を行う機会はないだろう」と述べた。(c)AFP/Aidan JONES