■ハマスが保存を約束

 ガザ地区に住む若手考古学者のFadel al-Utol氏は、緑青が付いたこの銅像が海から引き揚げられたものではないと述べている。

 AFPの取材に応じた同氏は、「銅像の90%は損傷していなかった。おそらく陸地で発見されたのだろう。もし水中にあったとすればもっと黒ずんでいるはずだ」と指摘。また銅像はガザ地区の古い宗教施設で見つかった可能性が高く、今後の調査で明らかにしたいと語った。

 Utol氏はハマスの観光・古文化財省に対し、フランスとパレスチナの合同チームによる銅像の修復と地元の美術館での展示のための支援を申し入れているという。

 しかし、保守的なイスラム教徒が多いガザでの展示では、パレスチナ人やイスラムの価値観に対する配慮から銅像の性器を桑の葉の骨董彫刻で覆うことが余儀なくされることも予想されるという。

 銅像の複数の写真を公開しているハマス。Ziad al-Zaza副首相は、同組織が古代の文化財と人類の歴史を保護する意向であるとしている。

 現在内務省が保管している銅像は、調査終了後に観光・古文化財省に戻され、(ガザ地区の)古文化財に最も興味を示しているフランスを初め、諸外国との接触が行われる予定だという。

 しかし、欧州連合(EU)と米国が「テロ組織」に指定するハマスが実効支配するガザ地区から、大英博物館(British Museum)やルーブル美術館(Louvre Museum)に銅像が移されるまでの道のりは長いものとなるだろう。(c)AFP/Adel Zaanoun