【2月15日 AFP】開催中のソチ冬季五輪で「真の五輪精神」を示したとして、クロスカントリースキーのカナダ人コーチが称賛を受けている。11日に行われた男子スプリントフリーで、競技中にスキー板が破損したロシア人選手を助けたためだ。

 準決勝に出場したロシアのアントン・ガファロフ(Anton Gafarov)選手は、高速でヘアピンカーブに差し掛かったとろで転倒。それでもゴールに向け、起き上がって足を引きずりながら前に進もうとしたが、左足に履いていたスキー板は完全に壊れていた。

 すると、その様子を見ていたカナダチームのコーチ、ジャスティン・ワズワース(Justin Wadsworth)氏が駆け寄り、持っていたスキー板と破損した板を取り替えた。

 ソチ五輪の広報担当、アレクサンドラ・コステリナ氏(Alexandra Kosterina)はこの行動について、「これこそが五輪の本質であり、その精神、その中核をなすもの。素晴らしい行動だ」と褒めたたえている。

 一方、カナダ紙トロント・スター(Toronto Star)によると、ワズワース氏は「わなにかかった動物を見ているようだった。何もせず、じっとしていることなどできなかった」と語ったという。

 ガファロフ選手は、応援に来ていたロシア人の観客たちからの大きな拍手に包まれてゴールした。しかし、その表情は決勝進出のチャンスを逃した悔しさでいっぱいだった。

 ロシアチームのコーチがコースのそばにおらず、別のチームのコーチに頼ることになった理由は、今のところ不明だ。(c)AFP