【2月13日 AFP】ソチ冬季五輪が開催されているロシア南部クラスノダール(Krasnodar)地方の裁判所は12日、ソチ五輪による環境破壊の懸念を訴えてきたロシア人環境活動家に対する懲役3年の刑の執行を命じた。人権団体は、五輪批判に対する懲罰的な決定であり、政治的な意図に基づいたものだと批判している。

 国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)はこの件について13日、ソチ五輪組織委員会を通じてロシア当局に説明を求めた。

 地質学者で環境保護団体「北カフカス環境ウオッチ(Environmental Watch on the North CaucasusEWNC)」の活動家、エフゲニー・ビチシュコ(Yevgeny Vitishko)氏は、ソチ五輪の関連施設の建設が環境に与える影響について激しく批判してきた。

 ソチ五輪はソビエト連邦崩壊後のロシアで開催される最大のイベントだが、手つかずの自然が残されていた森林・山岳地帯の大規模開発をめぐって懸念の声が上がっていた。

 ビチシュコ氏は2012年、公有林の中に建設中だった地元州知事の邸宅とされる豪邸の敷地を囲うフェンスを壊したとして執行猶予付きの有罪判決を受けており、今回の判決は執行猶予中に違法行為があったとして裁判所が懲役3年の執行を指示したものだ。

 ビチシュコ氏は今月3日、公共の場で暴言を吐いたとして身柄を拘束され、ソチ五輪の開会式が行われた日も勾留されていた。裁判所は法廷への同氏の出廷を認めず、同氏は不安定な動画を通じての答弁しか許されなかった。

 ビチシュコ氏の弁護人はAFPの取材に、同氏は15日間の勾留期限が切れる18日にも矯正労働収容所に移送される恐れがあると述べている。(c)AFP/Maria ANTONOVA