【2月12日 AFP】写真界の巨匠アンリ・カルティエブレッソン(Henri Cartier-Bresson)氏が死去してから今年で10年。母国フランスで同氏の「決定的瞬間」以外の側面も捉えた広範囲な作品群の回顧展が開催されている。

 回顧展は11日にパリ(Paris)の文化施設ポンピドーセンター(Pompidou Centre)で開幕した。10代の頃の絵画から、アフリカ旅行や第2次世界大戦(World War II)の直後、マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)の暗殺前後の写真まで、カルティエブレッソン氏が長いキャリアで見せたさまざまな側面を見ることができる。

 報道写真家集団マグナム・フォト(Magnum Photos)の創設者の一人で、撮影した写真だけでなく写真撮影のコンセプトでも名高いカルティエブレッソン氏は2004年、95歳で死去した。

 今回の回顧展には1932年撮影のパリ、サンラザール(Saint-Lazare)駅裏の水たまりの上を跳ぶ男の写真などの有名な写真も含まれている。

「決定的瞬間(decisive moment)」というタイトルは、カルティエブレッソン氏の1952年の写真集「Images a la Sauvette(逃げ去るイメージ)」の英題として付けられたものだった。

 キュレーターのクレマン・シェロー(Clement Cheroux)氏は「(カルティエブレッソン氏は)ただ一種類の写真、『決定的瞬間』の写真しか撮影しなかった人物として紹介されることが多い。われわれはカルティエブレッソンにはさまざまな側面があることを示したかった」と語った。事実、しわの寄ったシーツの上に雑誌が放置された1962年撮影の写真は、他の写真で見られるようなドラマと対照的だ。

 回顧展は、カルティエブレッソン氏の1920年代におけるシュールレアリストとの接触、反植民地主義、スペインの共和制支持者への関与などにも光を当てている。会期は6月9日まで。(c)AFP/Helen ROWE