【2月11日 AFP】反政権デモ隊と機動隊との衝突が続くウクライナの首都キエフ(Kiev)で10日、反政権側がバリケードを築くフルシェウシキー(Grushevsky)通りにショパン(Frederic Chopin)のピアノの調べが響き渡った。

 フルシェウシキー通りでは先月末、デモ隊と機動隊との衝突で数人が死亡、数百人の負傷者が出ている。反政権デモ隊がこの通りに築いたバリケードの上には、ウクライナ国旗を象徴する青色と黄色に塗られたピアノが置かれ、ミュージシャンやデモの参加者らがショパンの他にウクライナ国歌やビートルズ(Beatles)の「レット・イット・ビー(Let it Be)」など思い思いの曲を奏でた。

 その中には、欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)の優勝経験を持つ女性歌手ルスラナ(Ruslana)さんの姿もあった。

 一方、布袋や雪、燃やされた車両などがうず高く積まれたバリケードの反対側で対峙(たいじ)する機動隊員らは、ボリュームをいっぱいに上げてロシアのポップソングを流し、デモ隊のピアノの調べに対抗した。

 ウクライナは昨年11月以降、親ロシアの現政権が欧州連合(EU)との連合協定締結を見送ったことを機に反政権デモが活発化し混乱が続いている。

 キエフを象徴する独立広場(Independence Square)では、並べられたテントの間を、野戦服や防弾チョッキを着たデモの参加者が巡回する様子も見られ、いまや戦場の様相を呈している。 

 10日にはキエフの他、西部リビウ(Lviv)や親ロシアの東部ドネツク(Donetsk)などウクライナの9都市で、反政権側によるピアノ演奏が行われた。(c)AFP