【2月10日 AFP】デンマーク出身のラース・フォン・トリアー(Lars Von Trier)監督(57)の最新作で、過去作品より過激さを増した性描写が評判の長編『ニンフォマニアック・ボリューム1(原題、Nymphomaniac Volume I)』が9日、第64回ベルリン国際映画祭(Berlin International Film Festival)でプレミア上映された。

「色情狂」を意味する表題の同作品は、女優シャルロット・ゲインズブール(Charlotte Gainsbourg)演じる女性、ジョー(Joe)の誕生から50歳までの性体験を描いたもので、プレミアでは監督自ら編集したディレクターズ・カット版が上映された。しかし作品が喝采を呼んだ一方で、会場では監督自身や出演者の言動のほうに注目が集まる場面もあった。

 トリアー監督は、2011年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で報道陣の前でナチス(Nazi)に関するジョークを口にし、同映画祭から追放された経歴を持つ。その後はメディアに対し沈黙を守ってきた同監督だったが、ベルリンでのフォトコールには、カンヌの最高賞パルムドール(Palme d'Or)のロゴマークに「ペルソナノングラータ(招かれざる者)」と書いたTシャツで登場。続く記者会見には出席を拒否した。

 記者会見にはステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgard)、シャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)、クリスチャン・スレイター(Christian Slater)、ユマ・サーマン(Uma Thurman) 、ステイシー・マーティン( Stacy Martin)ら出演者だけが出席。ところが、会見が始まるとまた波乱が起きた。

 最初の質問で「こんなに性描写ばかりの映画に出演した感想は」と聞かれたラブーフは顔をしかめ、かつてフランスの元サッカー選手エリック・カントナ(Eric Cantona)が報道陣を侮辱した言葉を引用して「カモメが漁船を追いかけるのは、イワシが海に撒かれると思っているからだ」と回答。そのまま、汚れた野球帽をかぶりチューイングガムをかみながら部屋を出て行ってしまい、後には驚きながらもにやにやする他の出演者が残された。

 こうしたやりとりにもかかわらず、午後に開かれたマスコミ向け内覧会では2時間半のノーカット版が報道陣から大いに称賛を浴びた。(c)AFP/Deborah COLE