【2月10日 AFP】デンマークのコペンハーゲン動物園(Copenhagen Zoo)が9日、近親交配を防ぐためとして殺処分したキリンを来園者の前で解体した上、その死骸を餌としてライオンに与えたことで、世界の動物愛好家たちから激しい怒りの声が上がっている。

 同動物園が1歳半のキリン、マリウス(Marius)の殺処分を決定すると、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)には「マリウスを救え」と題されたページが立ち上げられるなど、世界各国で2万7000人余りがマリウスの助命を求めるオンライン嘆願書に署名した。ある富豪からは、マリウスを買い取ってビバリーヒルズ(Beverly Hills)の邸宅で育てるとの申し出もあった。

 しかしコペンハーゲン動物園は近親交配を防ぐため殺処分は避けられないとして予定通り9日、マリウスを麻酔で眠らせた後、銃で安楽死させた。同園のウェブサイトによると、近親交配は欧州動物園水族館協会(European Association of Zoos and AquariaEAZA)の規則に基づき、避けなければならない。マリウスは健康な個体だったが、欧州にはすでにマリウスと同様の遺伝子を持つキリンが多数存在するため、EAZAに加入している約300か所の他の動物園では引き取ることができなかったという。

 その後マリウスは、子どもを含む大勢の来園者が見つめる中で皮をはがれ、解体されていった。見物人の中には顔をしかめる人もいたが、中には写真を撮る人もいた。解体されたマリウスの死骸は、衆人環視の中でライオンに食べられた。同園の措置に上がった怒りの声はすさまじく、殺すと脅迫を受けた職員もいるという。(c)AFP