【2月9日 AFP】11日に行われるソチ冬季五輪のスノーボード・ハーフパイプに出場するカナダのクリスピン・リプスコム(Crispin Lipscomb)さん(34)は、カルマ(過去の行動に対する報い)が味方してくれることを願っている。

 信仰は実際に競技に役立っていると話す仏教徒のリプスコムさんは、「5~6年前から韓国に行くようになり、約1000年前からあるという寺の僧侶たちを紹介された。そして、仏陀の基本的な考え方の中には、スノーボードに深く通じるものがあると分かったんだ」と話す。

「恐怖心や身体的に困難なことに対処すること、瞬間にとどまること──その方法を見つけたんだ。それに、結果重視の考え方から過程とパフォーマンスを重視する考え方に変わった。それって自分自身でコントロールできるものなんだよね」

「スポーツ心理学者やトレーナーたちから以前にこうした話を聞かされたことはあるけれど、最近になってようやく分かってきた」

 リプスコムさんはまた、信仰のおかげで苦しみと折り合いを付けること、人生の一つ一つの側面を大きな視点から捉えられるようになってきたという。

 2009年に親友だったオーストラリア人のスノーボード選手、アンソニー・クルート(Anthony Crute)さんがスノーボード中の事故で亡くなった。以来、リプスコムさんはクルートさんの幼い娘の世話を助けてきた。また、忙しさに追われる中で、2010年に自国で開催されたバンクーバー冬季五輪への出場を逃すという経験もした。

 そして現在、ようやく今あるものに感謝することを学んだという。

「最初に五輪に出場した時は、ビッグになるとか、モテるとか、そういうことを考えていた。2度目の2010年は有名になり、金をもうけるチャンスだと思った。でも、出場できなかった。そして今回は、今のレベルで競える最後の機会だと思う。最後の機会に最高の競技ができるよう、これ以上はないというほどのベストを尽くしたい」(c)AFP