【2月9日 AFP】英イングランド(England)北東部スカーバラ(Scarborough)の水族館「シーライフ・センター(Sealife Centre)」のフンボルトペンギン12羽が、記録的な雨と風の影響でストレスを受けたと思わせる行動を見せており、同水族館は抗うつ剤の錠剤をえさに混ぜて与えている。

 フンボルトペンギンは本来の生息地である南米ペルーやチリの寒冷な気候に慣れているものの、長雨には驚いたようだ。飼育員らは、ペンギンが水の中で泳がず、身を寄せ合って暖を取っていることに気付いた。これを受けて、餌として毎日与えている魚に、抗うつ剤の錠剤を入れることにしたという。

 同水族館のスポークスマンは、長期間の悪天候にペンギンは慣れていないと指摘し、錠剤の効果でペンギンたちの心が落ち着くことを願っていると述べた。

 同水族館の展示キュレーター、リンゼイ・クロフォード(Lyndsey Crawford)さんは、錠剤はペンギンの通常の行動を促すように作られていると説明し、「うまくいけば本能が目覚め、危険がないと感じるようになる」と語った。

 クロフォードさんによると錠剤は魚のえらに仕込めるほど小さく、不快な味もないため、ペンギンは薬を与えられていることに気付かないという。

 同水族館のペンギンは3年前、飼育場に何者かが侵入した際にも行動に不安が表れた。当時の経験はペンギンをおびえさせ、しばらくの間産卵しなくなった。

 英気象庁によるとこの冬イングランドは記録的な雨の多さを記録しており、12月と1月を合わせた降水量としては1876~1877年以降で最高、 1766年以降で2番目に多くなっている。(c)AFP