【2月8日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナ北東部の工業都市トゥズラ(Tuzla)で5日に始まったデモは、7日までに首都サラエボ(Sarajevo)など全国20か所以上に拡大し、デモ隊と機動隊の衝突で150人以上が負傷している。サラエボの大統領官邸など、各地の庁舎にデモの参加者が押し入っている。

 ボスニア・ヘルツェゴビナでは失業率が44%を超え、5人に1人が貧困ライン以下で生活している。1か月の平均賃金は420ユーロ(約5万9000円)程度だ。トゥズラでのデモは賃金の未払いや多数の旧国有工場が不正に私有化されたことに対する労働者たちの抗議が発端。これが厳しい経済状況を打開できない政府に対する怒りとなって広がった。

 デモの参加者たちは、非常に悪い状態の経済が放置された政治的こう着状態の責任は、主に地方自治体の政治家にあるとしてその辞任を求めている。

 デモ開始から3日目となった7日、サラエボやトゥズラではデモの参加者が庁舎に火をつけた。サラエボでは大統領官邸など政府関連の建物2か所にデモ隊が押し入り、機動隊がゴム弾や催涙ガスで対応した。サラエボでは少なくとも105人が負傷し、うち78人は警官だという。若者たちが庁舎に押し入って家具やテレビを窓から投げ捨てたトゥズラでは11人が負傷し、学校は7日も休校になった。

 中部の都市ゼニツァ(Zenica)では約3000人がデモに繰り出し、現地の通信社は機動隊との衝突で50人以上が負傷したと報じた。ボスニアでこれだけ大規模な騒乱が起きたのは、1992~95年の内戦以来。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC