【2月7日 Relaxnews】20世紀の戦争や政治闘争をカメラに収めた写真家、ロバート・キャパ(Robert Capa)。戦争を題材とした写真の多くは白黒のフィルムで撮られたが、ニューヨークの国際写真センター(International Center of PhotographyICP)では1月31日から、「キャパ・イン・カラー(Capa in Color)」と題し、忘れ去られていたカラー写真を展示している。

 館長のシンシア・ヤング(Cynthia Young)氏はAFPに、ICPはカラーのネガフィルム4200カット分ほどを発見したと述べ、「この写真展では、キャパが戦争や政治闘争を取材していなかった時期に、写真家としての自分をどう再開発したかについても知ることができる」と説明した。

 キャパはハンガリー生まれ。ドイツ・ベルリン(Berlin)で写真家として修業を積んだが、ナチスから逃れるため、1933年にドイツを離れる。スペイン内戦や第2次世界大戦、第1次中東戦争の現場をとらえた写真で世界的に有名になったが、インドシナ戦争を取材していた1954年、地雷に触れて死亡した。

 キャパは戦場写真だけでなく、日常の風景や親交のあった有名人のカラー写真も撮った。写真展ではイングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)やハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)、トルーマン・カポーティ(Truman Capote)、オーソン・ウェルズ(Orson Welles)らの写真も観ることができる。また、フランス南部の海岸で家族と過ごすパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)や、米アイダホ州サンバレー(Sun Valley)の自宅でのアーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)など、著名人のプライベートの時間の写真もある。

 キャパは1947年、アンリ・カルティエ・ブレッソン(Henri Cartier-Bresson)らと共に写真家集団「マグナム・フォト(Magnum Photos)」を設立。この時期、カラー写真は雑誌社からの要望が大きかった。

 キャパが初めてカラー写真を撮影し始めたのは日中戦争を取材していた1938年。しかし、撮影したカラーフィルム「コダクローム(Kodachrome)」12本のうち、実際に出版されたのは4カットだけだった。1941年から定期的にカラー写真を撮り始めてから死去するまで、キャパは白黒用のカメラとカラー用カメラの2つを抱えて世界中を飛び回った。

 館長のヤング氏は、「白黒の方が安くあがったが、カラーは華やかで、定期的に雑誌の表紙にも採用された。誰もがカラーを求めていた。映画もカラー、広告もカラーがもてはやされた」と述べた。

 一方、キャパが戦場で撮った写真はほとんどすべて白黒だった。カラー写真は当時、現像や検閲、編集、出版に非常に時間が掛かったためだ。ヤング氏は「当時、カラーは刻々と変わる現場からのニュースに適したメディアではなかった」と話した。

 写真展は5月4日まで開催される。(c)Relaxnews/AFPBB News