【2月7日 AFP】米ウィスコンシン(Wisconsin)州で先月末、地元オーケストラのコンサートマスターが襲われバイオリンの名器「ストラディバリウス(Stradivarius)」が強奪された事件で、地元警察は6日、行方不明となっていたバイオリンを発見したと発表した。

 事件は1月27日、ウィスコンシン・ルーテル・カレッジ(Wisconsin Lutheran College)で夜の演奏を終えたミルウォーキー交響楽団(Milwaukee Symphony Orchestra)のコンサートマスター、フランク・アーモンド(Frank Almond)氏が3人組にスタンガンで襲われ、ストラディバリウスが奪われたもの。

 盗まれたのは、かつての所有者の名前にちなんで「リピンスキー(Lipinski Stradivarius)」と呼ばれている17世紀製ストラディバリウスで、50年以上にわたって所有していたウィスコンシン州の一家から貸し出されていたものだった。

 強盗が起きた数時間後には空のケースが発見されたが、バイオリンは見つからず、3日に逮捕された容疑者3人もバイオリンの所在については口を閉ざしたままだった。

 だが、バイオリンの行方に関する情報提供に報奨金10万ドル(約1000万円)を出す旨の記者会見から数時間後、警察は市内東部にある住宅の屋根裏からスーツケースに入れられたストラディバリウスが見つかったと発表。

 警察は、事件には計画性はなく、逮捕した容疑者らは犯罪組織とは無関係とみている。

 約600本が現存しているストラディバリウスは、イタリアの弦楽器製作者アントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari)が作ったバイオリンで、比類ない素晴らしい音を奏でると称賛されている。東日本大震災被災者のために行われた2011年のチャリティーオークションでは1本のストラディバリウスが1100万ユーロ(約15億円)で落札された。(c)AFP