【2月6日 AFP】イスラム教徒とキリスト教徒の宗教間対立に起因する武力抗争が続いている中央アフリカの首都バンギ(Bangui)で5日、イスラム教系の武装勢力連合「セレカ(Seleka)」の元戦闘員とみられる男性が中央アフリカ軍(Central African Armed ForcesFACA)の兵士らに公の場でリンチされ、殺害される事件が起きた。

 事件が起きたのは、カトリーヌ・サンバパンザ(Catherine Samba-Panza)暫定大統領や軍幹部、政府高官らが出席し開催された軍の式典が終了した直後。サンバパンザ暫定大統領は式典で兵士らを前に、国内の治安回復への貢献を誇りに思うと語っていた。

 複数のAFP記者によると式典終了後、軍服姿の兵士たちが元戦闘員とみられる私服の若い男性に襲いかかり、頭を踏み付け、刃物で刺し、石を投げ付けるなどしたという。事件の様子はカメラに捉えられていた。

 現場で「セレカだ」「潜り込んでいるぞ」という叫び声が聞こえると、すぐに大勢が集まり、やがてその人々は怒れる群衆に変わったという。目撃者らによると、男性は生死が分からないまま、通りで体を引きずり回された後、バラバラに切断され、火を付けられたという。

 その後、式典の警備に当たっていたアフリカ連合(AU)の中央アフリカ支援国際ミッション(MISCA)の兵士たちが介入し、催涙ガスを使ったり、空に向けて発砲したりして群集を解散させた。

 今回の事件は、少数派のイスラム教徒からなるセレカが昨年3月に権力を掌握した後、多数派のキリスト教徒の市民を標的に組織的な殺人とレイプ、略奪などを始めて以降、新たに暫定大統領が選出された現在も、国内の混乱が収束していないことを改めて強調するものとなった。(c)AFP/Anne LE COZ, Christian PANIKA