【2月5日 AFP】世界で最もその過去が謎に包まれている民族の1つ、中央アフリカの少数民族ピグミー(Pygmy)だが、その歴史の空白部分を埋めることができるかもしれないとの研究論文が4日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。

 遺伝子解析の結果、ピグミーのような狩猟採集民族は、人類史上のある重要な時期に、初期には農耕民族だったバンツー(Bantu)語を話す民族との異系交配を避けていたことがわかったという。

 2つの民族が最初に出会ったのは、約5000年前に農業技術を会得していたバンツー系の人々が、現在のナイジェリアとカメルーンにあたる地域から、アフリカの東部、中部、南部へと移動を開始した頃だった。

 バンツー系の人々が遭遇した狩猟採集民族の大半は、すぐに農業主体の定住型の生活様式を取り込み、バンツー系の人々の言語も身に付けた。

 だがアフリカ中部の熱帯雨林で暮らしていたピグミーのような少数民族は、自分たちの伝統的な移動型の生活様式を守り続けた。

 フランスのパスツール研究所(Institut Pasteur)などの研究チームが発表した論文は、ピグミーは新たにやってきた民族と陶器や道具、知識などの交換は行ったが、遺伝子はやりとりしなかったかもしれないと指摘している。その証拠は、ピグミーおよびガボン、カメルーン、ウガンダ、中央アフリカ、コンゴ民主共和国などの地域のバンツー語を話す人々約300人のDNA解析により得られた。