【2月5日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対する批判的な報道で知られる同国の独立系民間テレビ局「ドシチ(Dozhd)」が、当局からの圧力を受けたとみられるケーブルテレビ各社から、ここ数日にかけ次々と配信を停止され、閉鎖の危機に陥っている。

 3日には、同国最大の衛星テレビ会社「Tricolour TV」が、今月10日からドシチのチャンネル配信を中止すると発表した。

 ドシチ側はテレビ各社が圧力を受けていると主張し、配信停止を「政府による脅迫作戦」と非難。閉鎖を避けるためにあらゆる手段を講じることを誓うと同時に、ケーブル会社に対し無料コンテンツを今年いっぱい提供すると表明している。

 4日に記者会見したドシチのゼネラルディレクター、Natalia Sindeyeva氏は、「私たちが独立テレビ局であることに、彼ら(当局)はいらだっている」と述べ、「事業を続けられるよう、最後まで闘う」と宣言した。

 ドシチに対する圧力は先月末、第2次世界大戦(World War II)中に起き少なくとも80万人が餓死したナチス・ドイツ軍によるレニングラード(Leningrad)包囲についての電話世論調査を同局が実施したことをきっかけに始まった。

 世論調査で同局は、数十万人の命を救うためにレニングラードは降伏すべきだったかどうか、という質問への回答を求めた。

 これを問題視した有力議員らは、世論調査を非愛国的であると非難し、「過激主義」の疑いがあるとして、当局にドシチの捜査を要請。ドシチ側は直ちに謝罪し、世論調査を停止したが、ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は同局に対し、同世論調査は「あらゆる許容範囲を超えるものだ」と通達した。

 一方のドシチの経営陣は、世論調査は弾圧の口実にされているだけだと指摘。圧力が高まっている理由は、反ロシア政府運動の指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が行った与党指導部の豪邸に関する調査を報じたことにあると主張している。

 ロシアの主要チャンネルは全て政府により管理・統制されており、ドシチの支持者らや政治評論家らは、ドシチが独立テレビ局であることを理由に制裁を受けていると主張している。(c)AFP