【2月4日 AFP】欧州連合(EU)の加盟28か国にまん延する汚職による損失総額は、EUの総予算に匹敵する年間約1200億ユーロ(約16兆4000億円)「絶句するような」巨額に上っていると、欧州委員会(European Commission)のセシリア・マルムストローム(Cecilia Malmstroem)内務担当委員が3日、明らかにした。

 同氏は、出身国スウェーデンの日刊紙Goeteborgspostenに寄せた論説で、欧州委員会が初めてまとめた報告書について言及した。それによると、EU全体の総生産の1%近くに相当するこの額はあくまで「推定」であって、実際は「恐らく…もっとずっと高い」と指摘。「手をこまねくことの代償は大きすぎる」として、加盟各国に汚職の根絶のためさらなる措置を講じるよう呼び掛けた。

 同報告書は、各加盟国の汚職の深刻さの度合いや法的制裁については言及していないが、マルムストローム氏によると加盟国との協議後に発表される可能性もあるとしている。同氏は「1つ確実に言えるのは、欧州に汚職のない地域は存在しないということだ」と述べている。

 同氏は特定の国名を挙げることは拒否したが、EUは以前からブルガリアとルーマニアでの汚職、特にEUからの資金の使途について懸念を示しており、両国が2007年にEUに加盟した際には共に特別な監視制度の対象とされた。(c)AFP/Bryan McManus