国際宇宙ステーションの研究に「限界」はない、ISS科学者が語る
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【2月4日 AFP】 地球の上空約350キロ、特別に許可された限られた人たちしか滞在することのできない国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)。ここで科学や医療の進歩を握る最先端の研究が進められている。
米航空宇宙局(NASA)は1月、ISSの運用期間を予定より4年延長し、少なくとも2024年まで継続する方針を発表した。
1998年に運用が開始されたISSは、ベッドルームが6部屋ある邸宅よりも生活空間が広く、インターネットアクセスやジムも完備。2室あるバスルームの出窓からは360度、荘厳な地球を見渡せる。様々な研究棟や居住棟から構成され、全体はサッカー場とほぼ同じ大きさになる。
とはいえ年数が経過したISSには定期的なメンテナンスが必要だ。宇宙飛行士たちが宇宙服を着てISSの船外に出て修理を行っている。昨年のクリスマスイブには米国人宇宙飛行士2人が、冷房装置のアンモニアポンプの故障を直した。
NASAのISS科学者であるジュリー・ロビンソン(Julie Robinson)氏は、ISSはコストが掛かってもメンテナンスしていく価値があると主張する。ISSのメンテナンスは、14か国から選ばれた宇宙飛行士が6人1組となり交代で行っている。これによって科学者たちは、長期の無重力状態による人体への影響も研究することができると、ロビンソン氏はいう。
「ISSを使う目的は、他の場所ではできない発見をすることだ。そして、生物医学の向上や新素材の開発に直接役立つ知識や、地球やその気候の観測を向上させる知識を発展させることで、地球に恩恵をもたらすことに専念した研究を行っている」とロビンソン氏はAFPに語った。初期の研究結果はすでに製薬開発や医療技術の向上につながっている。
ロビンソン氏によれば、ISSで使用されているロボットアームは、脳外科手術で人の命を救うことができるという。「このアームの素晴らしいところは、MRIスキャナーの中でも使えることと、それにより医師が腫瘍を見ながら、ロボットアームの能力を使って人間の手よりもさらに安定した手術が行えるという利点だ。これまで手術不可能と思われていた患者を手術できるようになっている」と同氏はいう。
ロビンソン氏はISSの可能性は「無限」で、研究を支援する資金の民間からの拠出が増えており、「過去と違い、今は宇宙研究の時代だ。科学がついに壁を越えて未知の世界への探求を始め、ユニークな発見が相次ぐ中、私たちは何十年も先を見ている」と語った。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI