【2月3日 AFP】ジャスティン・ポスルーズニー・ベロさん(30)は第一子を妊娠した時に、米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)の郊外から、中心部に引っ越すことを決意した。1世代前の母親とは、全く逆の選択だった。

 ベロさんがそれまで住んでいたのは、D.C.から20分ほど離れた郊外のフォールズチャーチ(Falls Church)。古い建物の修復に携わる専門職のベロさんは、AFPの取材に対し「郊外では、買い物に行くにも図書館に行くにも、何をするにも車を使わないといけない。これが嫌だったことが都心に移った一番の理由」だと話した。

 米国では1980~90年代に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる若い世代の間で、郊外を離れて都心に移り住む傾向が強まっている。2011年の統計による人口増加率は、米国の51の大都市のうち27都市で郊外の0.9%を上回る1.1%となり、車が発明されて以来、初めて都心部が郊外を上回った。

 郊外からの転出に関する著書があるライ・ギャラガー(Leigh Gallagher)氏によると「(米国では)1950~60年代に中流層が出現し、大きな家に2人の子ども、車と大きな庭というアメリカンドリームが描かれた。長い間、これが米国の都市計画の唯一のモデルだったが、つい最近になって、都心部に住むことへの関心が浮上してきた」という。

 郊外からの転出の理由としては、ガソリン価格の高騰、交通渋滞による消耗、離婚率の上昇、さらに近年の住宅機器など多くの要因がある。