【1月29日 AFP】世界的な「教育危機」により世界中で2.5億人の子どもたちが基礎的な読み書きと算数を学べておらず、それによる各国政府の損失は1290億ドル(約13兆円)に相当する――国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が29日に発表した年次報告書で警告した。

 報告書によると、貧困国では若者の4人に1人が1文を読み切ることができず、サハラ以南アフリカではこの割合が40パーセントに上るという。また、調査の対象となった国々の3分の1で、現職の小学校教員のうち国の教育指導要領に適した訓練を受けている人が4分の3にも満たない他、世界中で1億2000万の子どもたちは学校に行った経験が全く無いかまたはそれに近い状況だという。

 報告書は「2億5000万人の子どもたちが基礎を学んでいないことによる損失は1290億ドルに相当する、これは全世界で初等教育に費やされている総額の10パーセントに相当する」という見方を示している。

 さらに、調査対象の37か国では、子どもたちが学習できていないために、各国の初等教育関連支出の少なくとも半分が無駄になっていると指摘。ユネスコのイリナ・ボコバ(Irina Bokova)事務局長は報告書の前書きで、「危機にひんしているのは教育を受ける機会だけではない。質の低い教育は学校に通える子どもたちにさえ学ぶことを阻害している」と警鐘を鳴らしている。(c)AFP