【1月29日 AFP】フィリピン政府は28日、秘密の拘置所を運営し、被収容者たちに暴力を振るい虐待していたとして、警察官10人を停職処分にしたことを明らかにした。

 フィリピン人権委員会(Philippine Commission on Human RightsCHR)や国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、国家警察を非難し、関与した警官の訴追と施設の閉鎖を求めている。

 マニラ(Manila)首都圏の南方、ラグナ(Laguna)州ビナン(Binan)市の出入ゲート付き住宅街にあることが発覚したこの拘置所は、建物は通常の家屋で、フィリピン国家警察の公式の刑事施設一覧には掲載されていない。

 CHRのマルク・セブレロス(Mark Cebreros)広報担当によれば、運営していたのはビナン警察の情報部で、昨年2月から被収容者に対する拷問が行われていたという。セブレロス氏によれば、拷問は逮捕時、数日後、自白を強要する際、さらに警官たちが酔うたびに行われていた。拷問を受けた人物によると、恐怖の効果を増すために警官たちが、かつらやマスクを着けていたこともあるという。捜査過程で女性用のかつらやペンキが塗られた車輪などが見つかり押収された。

 また警官らは、拷問する際にルーレット板を使い、書き出した拷問方法の中から当たったものを選択していた。一覧には、20秒間にわたり受刑者を殴打し続ける、30秒間コウモリのように逆さまに吊すなどの拷問方法が含まれていた。

 警官らは拷問で有罪となった場合、終身刑の可能性がある。

 収容されていた15人の大半は薬物がらみで起訴されている容疑者で、この事件に関する証言を行うことに同意したため、報復される可能性を避ける意味で今月初め、別の施設に移送された。(c)AFP