【1月28日 AFP】流出した新作映画の脚本をウェブサイトに掲載されたとして、『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』などで知られる映画監督のクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)氏が27日、米ゴシップサイト、ゴーカー(Gawker)などを相手取り200万ドル(約2億600万円)以上の賠償を求める訴えを起こした。

『レザボアドッグス(Reservoir Dogs)』や『ジャンゴ 繋がれざる者(Django Unchained)』などの代表作があるタランティーノ監督は21日、娯楽ニュースサイト「Deadline.com」とのインタビューで、次作として予定していた映画『The Hateful Eight(ヘイトフル・エイト)』の脚本が流出したため、制作を断念すると発表。脚本は6人に渡していたが、このうちの誰かが脚本を外部に漏らしたと主張し「心底、がっかりしている」と失望感をあらわにしていた。

 監督側の訴えによると、何者かがこの全146ページの脚本をネット上に匿名で投稿し、ゴーカーは、この脚本を読むことができるリンクを自社ウェブサイト「ゴーカー・メディア(Gawker Media)」に掲載した。監督側は「略奪的ジャーナリズム」だとゴーカーを非難している。

 これに対しゴーカー側は、脚本の流出には関与しておらず、単に脚本が投稿されたネット上の場所を掲載しただけだと反論し、脚本の流出を物語に仕立て上げようとしているとタランティーノ監督を批判した。

 監督側は、一般市民による脚本の著作権侵害をがほう助することには何のニュース性も報道性もなく、この不正行為の責任をゴーカーメディアは免れることはできないと主張。著作権侵害で脚本をネット上に投稿した人物に最低100万ドル(約1億円)、著作権侵害をほう助したとしてゴーカーに同額の損害賠償を求めた。

 一方のゴーカー側も27日、脚本を流出させたのは同社ではないとウェブサイトで反論。タランティーノ監督の脚本が流出したというニュースを報じた後、23日になって問題の脚本が他社ウェブサイト「AnonFiles」に掲載されているとの情報がユーザーから寄せられたため、これをニュース記事としてサイトで伝えたと主張した。

 さらにゴーカーは、米国でニュース記事が「著作権侵害のほう助」に当たるとの訴えは聞いたことがないとして、監督側と法廷で争っていく姿勢を示した。(c)AFP