殺虫剤DDT、アルツハイマー病のリスク高める危険性、米研究
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【1月28日 AFP】アルツハイマー病の患者は健康な高齢者に比べて、殺虫剤DDTの分解物である化学物質DDEの体内レベルが高い可能性があるとの研究論文が27日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。
米国では、1972年にその使用が段階的に禁止となったDDTだが、複数の国際保健機関はマラリアの抑制には効果的と考えているため、現在でもいくつかの国では使われている。
研究では、米テキサス(Texas)州とジョージア(Georgia)州出身の平均74歳のアルツハイマー病患者86人と高齢者79人を比較した。
その結果、DDTの代謝産物であるDDEのレベルが、アルツハイマー病の患者ではそうでない人に比べて4倍近く高いことがわかった。さらに体内のDDEレベルが高い人ほど、アルツハイマー病にかかるリスクが約4倍高まるとしている。安定した物質であるDDEは環境中に長期にわたりとどまる性質を持っている。
しかし外部の専門家らは、調査の規模が小さくさらなる調査が必要だと指摘しており、同誌の担当記者らも他のグループで独立した確認が得られるまでは「仮の」研究結果と考えるべきと話している。
論文の共同執筆者で米エモリー大学医学部(Emory University School of Medicine)のアラン・リービー(Allan Levey)教授は、「アルツハイマー病における環境中のリスク要因を特定した最初の研究の一つ」と説明した。(c)AFP