収集した膨大な情報をどこで保管?米NSA改革の難問
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【1月25日 AFP】米政府当局者の間で、国家安全保障局(National Security Agency、NSA)が収集した膨大な情報をどこで保管するのかを決めるのは、大規模な情報収集活動を縮小する上で最も難しい問題だという見方が出ている。
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は17日の演説で、NSAの元契約職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が暴露したことで強い批判を受けているNSAの情報収集活動の改革案を発表し、NSAによる電話通信記録の収集を縮小する方針を示した。オバマ大統領はまた、同盟国の首脳を対象にした盗聴をやめると明言したほか、データ収集の対象となっている外国人に対する新たな保護策も示した。
オバマ大統領は、ジェームズ・クラッパー(James Clapper)国家情報長官とエリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官に、どの機関が機密情報を保管すべきか、3月末までに提案書を作成するよう指示した。
上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)委員長をはじめとする有力議員は、非政府機関が情報を保管するようになれば、政府関係者が必要な時に情報を容易に入手できなくなると懸念する。ファインスタイン委員長は米NBCテレビの番組で「そもそも情報収集活動の目的は速やかに情報を提供し、起こりうる陰謀を未然に阻止することだ」と主張した。
下院国土安全保障委員会(House Committee on Homeland Security)のマイケル・マコウル(Michael McCaul)委員長は米ABCテレビの番組で、NSAのメタデータをどこで保管するかを決めるのは重要なことだと述べ、「メタデータ(の収集)は廃止されず、第三者機関に委ねられる」との見方を示した。
米下院情報特別委員会(House Permanent Select Committee on Intelligence)のマイク・ロジャース(Mike Rogers)委員長は米CNNテレビの番組で、情報の保管場所を決めることは大変なジレンマだと述べた。また、最大1億1000万人の顧客のクレジットカード情報が流出した米小売大手ターゲット(Target)に触れ、「保管するのは、ハッカー被害を受けてしまったターゲットなどのような所であってはならない」と冗談を交えて話した。
ロジャース氏はまた、米CBSテレビのインタビューで、情報に関する現在の制度はNSAの内部監査、裁判所、司法省、上下両院の情報特別委員会など何層にも重なる監督体制になっており、民間で同様の体制を整えるのは不可能ではないにしても難しいと述べた。