【1月23日 AFP】インフルエンザなどで熱が出たときに、市販の解熱剤を服用すれば体は楽になるかもしれないが、かえってウイルス感染を拡大しいている恐れがあるとの研究が、英学術専門誌「英王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society)」に掲載された。

 人の体は発熱することでウイルスや細菌を撃退し増殖も防いでいる。だが、高熱などインフルエンザの諸症状を抑えようとイブプロフェンやアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸などを含む薬剤を服用する人たちが増えている。

 カナダ・マクマスター大学(McMaster University)の研究チームが発表した論文によると、その結果としてインフルエンザ感染者が体内のウイルスを排出する割合や期間が増し、より多くのウイルスが、せきやくしゃみを通じて周囲の人に伝達されている。熱が下がって体が楽になれば他人と接触する機会が増え、その結果ウイルスを拡散しているためだという。

 論文は、「治療の第一目的が解熱でなくても、熱も下がる可能性は高い。感染性疾患の典型的な諸症状の緩和が目的の一般用医薬品の大半には解熱作用のある成分が含まれているからだ」と説明している。

 過去の複数の研究を調査した研究チームは、発熱を抑える医薬品の使用が広まった結果、インフルエンザ感染者の数が毎年5%増加しているとの結論を導いた。(c)AFP