準惑星ケレスから噴き出る水蒸気、ESAが観測
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【1月23日 AFP】太陽系内の小惑星帯にある準惑星ケレス(Ceres)の表面から、水蒸気が噴出していることを確認したとする欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の研究チームによる論文が22日、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。地球上の生命の起源が、隕石の衝突にあるとの学説をさらに裏付ける観測結果だという。
直径約950キロのケレスは、火星と木星の間の小惑星帯にある最大の天体で、太陽の周囲を一周当たり約4年半かけ、楕円状にまわっている。発見当初は、太陽系が形成されたときに破砕された天体の巨大な破片で、単に「巨大な小惑星」であると考えられていた。しかし、その後の詳細な調査の結果、ケイ酸塩の核を持ち、外郭は氷で覆われている、惑星に似た球体であることが分かった。激しい議論の末、国際天文学連合(International Astronomical Union、IAU)は2008年、ケレスを「準惑星」という新たな天体の分類に入れることを決めた。
ESAのマイケル・ケッパーズ(Michael Kueppers)氏率いる研究チームは、ハーシェル(Herschel)宇宙望遠鏡の赤外線センサーを使って2011年11月から2013年3月までに計4回の観測を実施。その結果、太陽に近づく際、ケレスの表面の2か所から水蒸気が間欠泉のように噴き上がるのを確認した。噴出された水蒸気の量は1秒当たり6キログラム程度だったという。
米セントラルフロリダ大学(University of Central Florida)の宇宙物理学者、ウンベルト・カンピンス(Humberto Campins)博士とクリスティーン・コンフォート(Christine Comfort)氏はこの観測結果について、「数十億年前、生まれたばかりの地球に水分子と炭素分子を含んだ岩が衝突し、生命の誕生に不可欠な材料となった」という、かつて一笑に付された学説を後押しするものだと述べている。(c)AFP