【1月22日 AFP】暗く分厚いスモッグに覆われた光り輝く町、香港(Hong Kong)──。この町を訪れる観光客は、世界的に有名なビクトリアハーバー(Victoria Harbour)から香港の高層ビル群を撮影する。しかし、ひどい大気汚染により背景とビルとの区別はつかない。

 南アフリカから娘と一緒に香港を訪れたジュリー・クロスリーさん(39)は、「娘は一体何を吸い込んでいるのだろうか。正直怖い」と心配そうな表情だ。

 一方、自分たちの健康被害を真剣に心配するようになってきた住民らも対策を強化するよう政府に強く求めている。

 政府は昨年末、大気汚染と健康リスクの関係を示す「空気質健康指数(Air Quality Health Index, AQHI)」を新たに導入した。導入以降は高い汚染レベルがほぼ毎日のように示されているため、問題の深刻さが改めて浮き彫りになっている。

 香港の複数の環境団体は、複数の汚染物質濃度をモニタリングしながら、住民にアドバイスを提供するAQHIの導入がこれまで行動を起こさなかった政府の汚染対策を促すきっかけになればいいと期待している。

 AQHIの導入は、梁振英(Leung Chun-ying)行政長官による大気汚染対策を最重要事項の1つにするとした公約の下で実現した。

 他方、政府が打ち立てた排ガス削減計画には、2014年から2019年の間に、古いディーゼル車8000台の廃車や、香港に停泊するコンテナ船に環境に配慮した燃料の使用を義務付けることなどが含まれている。

 しかし環境保護団体は、政府の対策には切迫感が欠けていると苛立ちを募らせている。国際環境NGO「地球の友(Friends of the Earth)」などは、大気汚染が一定のレベルに達したときは車の使用に規制をかけるべきとした。