【1月21日 AFP】親ロシア政権に対し、親EU派の野党による反政権デモが続いているウクライナで21日、反デモ法が施行された。

 反デモ法に抗議する10万人規模の反政権派と機動隊の衝突が3日目に入った首都キエフ(Kiev)では、反デモ法の施行を受け、かつてないほどの暴動が起きている。

 ウクライナ議会報で正式に発表された反デモ法は、ほとんどすべての形態の抗議行動を禁止しており、公共の建物を封鎖した者には最高5年の禁固刑が科され、抗議行動でマスクやヘルメットを着用した者は逮捕される。またインターネット上での「中傷」の流布を禁じた条項もある。

 同法は廃案を求める野党や、欧米諸国の呼び掛けにもかかわらず施行された。同法の規制条項を用い、ウクライナ当局が抗議行動を解散させるために暴力を行使する恐れがあるとの懸念を生じさせている。

 キエフでは2か月にわたって抗議デモが続いているが、19日と20日に起きたデモ隊1万人と機動隊との衝突で、キエフ中心部はまさに戦場の様相を呈した。

 一方ロシアは21日、ウクライナの反政権派と警察の衝突は制御不能な状態に陥りつつあると警告を発した。同国のセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は、ウクライナでビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領の退陣を求める反政権派に対し、欧州連合(EU)は「不道徳な」支持を与えていると非難した。

 またラブロフ外相は、ウクライナの反政権派の指導者たち、特にボクシング元ヘビー級世界王者のビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏による暴力自重の呼び掛けが通じておらず、キエフの緊張はまったく緩和していないことから、事態は収拾不可能で爆発寸前になっているとの見解を示した。

 ラブロフ氏は、キエフで閃光弾や火炎瓶が用いられ、前代未聞の暴動状態が起きていることについて「恐ろしい」事態であり、「全欧州の行動規範に完全にそむくものだ」と述べた。(c)AFP