【1月21日 AFP】政済界のリーダーが一堂に会する世界経済フォーラム(World Economic ForumWEF)の年次総会(ダボス会議)開幕を22日に控え、国際NGOオックスファム(Oxfam)は、世界のエリートが自分たちの好きなように法を操って民主主義をむしばみ、世界中の貧富の格差を生んでいるとの報告書を発表した。

 オックスファムは拡大する経済格差に関する新たな報告書の序文で、格差は制御できる範囲を優に超え、世界で最も裕福な85人の資産は、世界人口の半分の資産合計に匹敵すると指摘している。

 報告書は「富裕層が民主的なプロセスを損ない、自分たちの利益に資する政策を推進し、他のすべての人々を犠牲にしている」状態を支えている不平等の拡大の「破滅的な影響」を露わにしている。

 ダボス会議を主催するWEFも前週、貧富の格差の拡大は今年最大の世界的リスクを突き付けており、今後10年間で世界に重大な損害をもたらすだろうと警告を発している。

 しかしオックスファムが暗に批判しているのは、そのWEFの主催でスイスの高級スキーリゾート地ダボス(Davos)に集まり、協議しようとしている多くの大企業や世界の指導者たちだ。

「この数十年間、富裕層が首尾よく強要してきた政策には金融規制緩和、租税回避と守秘、非競争的な商行為、高額所得や投資に対する税率引き下げ、大半の人々のための公共サービスの削減もしくは過少投資などがある」とオックスファムは指摘している。

 また「1970年代後半以来、データ入手可能な30か国中29か国で、富裕層への課税率は下がっており、これは多くの場所で富裕層が、いっそう多くの金銭を手にしているだけではなく、それにかかる税金が減っていることを意味している」ともオックスファムは述べている。

 一方、WEFは5日間にわたる非公開セミナーと公開される基調講演の中で、格差問題を前面に押し出すことを決定している。先陣を切るのは、今年の主要20か国・地域(G20)首脳会議の議長国であるオーストラリアのトニー・アボット(Tony Abbott)首相だろう。アボット首相は23日にダボスで行う演説で、格差問題への取り組みを示さなければならない。(c)AFP