「アサド政権による虐殺の証拠入手」元国際法廷検察官らが非難 シリア
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【1月21日 AFP】英紙などの報道によると、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が大規模な殺りくと拷問を行っているとして、3人の元国際法廷主任検察官が報告書で非難している。
英紙ガーディアン(Guardian)や米CNNテレビによると、31ページからなる報告書は、シリア内務省所属の憲兵隊から離反した人物の証言に基づき、シリアの反体制派を支援するカタールが委託し作成された。報告書によると、1万1000人の被拘束者の遺体を写した約5万5000点のデジタル画像が引き渡され、中には目のない遺体や、絞殺や電気処刑のあとがみられる遺体が写ったものが含まれている。離反者によれば、犠牲者は監禁下で死亡し、その後、移送された軍の病院で写真は撮影されたという。
報告書を作成したのは、シエラレオネ国際戦犯法廷(Special Court for Sierra Leone、SCSL)で主任検察官を務めたデービッド・クレーン(David Crane)氏とデズモンド・デ・シルバ(Desmond de Silva)氏、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia、ICTY)でスロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元ユーゴ大統領の裁判の主任検察官を務めたジェフリー・ナイス(Geoffrey Nice)氏の3氏。
デ・シルバ氏はガーディアン紙に対し、証拠はシリア軍が「工業規模の殺りく」を実行していることを示すものだと語った。
国連(UN)はシリア内戦でこれまでに10万人を優に超える人々が殺害されたとしており、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、紛争の残忍性ゆえに国際社会は何としても政治的解決を支持しなければならないと繰り返し述べている。しかしシリアの反体制派、さらに米国や欧州の大国はこぞって、いかなる政権になろうとも将来のシリア政権にアサド大統領を加えることはできないと主張している。(c)AFP/Timothy WITCHER