【1月21日 AFP】太平洋を横断して米西海岸上空にまで到達している中国の大気汚染物質について、その責任の一端は米国内の消費活動にあるとする研究論文が20日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academyof SciencesPNAS)に掲載された。

 米西海岸のカリフォルニア(California)州、オレゴン(Oregon)州、ワシントン(Washington)州の大気中に含まれる汚染物質の一部は、中国でテレビ、おもちゃ、携帯電話などの輸出用製品を製造する過程で空気中に放出されたもので、最近では汚染物質全体の約25%に上ることもあるという。

 論文の共同執筆者で米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)の研究者であるスティーブ・デービス(Steve Davis)氏は、「私たちは外国に製品の製造を委託し、大半の大気汚染を肩代わりしてもらっている。しかしその一部が太平洋を渡って戻ってきて私たちを悩ませているのです」と説明する。

 北京大学(Peking University)の研究員、林金泰(Jintai Lin)氏が主導し、米国や英国からの研究者も参加した今回の研究によると、中国で放出された一酸化炭素の22%と黒色炭素の17%が輸出製品の製造に関係していることが分かったという。

 雨とともに落下することがない黒色炭素は、大気中に長時間留まり長距離を移動する。黒色炭素にさらされると、がん、心臓病や肺疾患、ぜんそくなどのリスクが高まる可能性がある。(c)AFP